KOZM Agency
INTERVIEW: NIGO®
2010.09.06
INTERVIEW: NIGO®
Interviewer - Verbal (V) Interviewee - NIGO® (N)
V:
個人的な話しから入りますと、テリヤキボーイズライブのリハも終わって、その他に今年の一月にコラボレーションさせて頂いたり かなりお世話になりっぱなしな訳ですが、APEも今年は17年目ですよね? 今後も勢いがとまらないような気がしますが。
N:
テリヤキの活動とかもそうですけど、今年から Mr. BATHING APEという、スーツやってみたり、 この間の HUMAN MADE。ちょっとビンテージのやつやったりとか。 ちょっと新しいことをやっておりますね。 APEは相変わらず、いつもの感じです。(笑)
V:
コラボレーションも次から次へとやられていて、イメージ的には勢いが止まりそうな気配がしませんが...(笑)
N:
自分にしてみたら普通なんですけどね。あんまり立ち止まりたくないタイプなので。
V:
勢いにまかせてのっちゃってくタイプですね。(笑)
N:
気をゆるめないタイプですね
V:
因に気をゆるめてしまって体調を崩したことはありますか?
N:
何にもすることが無い日とか、仕事を休んじゃったりすると、ちょっと気がゆるんで 風邪ひいちゃったりしますね。(笑)
V:
逆に、忙しすぎてもう嫌だって思ったことないですか? いきなり長い休日をとってどこかに行ってしまいたいとか(笑)?
N:
結構あるけど、まあ APE にしても次から次へと自分の中のミッションという か、自然と次に向かって動いてしまってるかな。日本で結構やりつくしたなって 感じたら、次はアメリカに行ったり、その次はヨーロッパ行ったりしてで、そこでも やったなってなったら、今度はアジアとか。
V:
どういう時にやりつくしたなって感じるんですか?
N:
刺激がなくなっちゃう時とか、その事が普通になっちゃう時。
V:
確かに!
N:
達成感みたいなのがあるんですよね。 例えば、尊敬している人から「よくやったな~」とか言われると、結構達成感がありますね。
V:
昔、藤井フミヤさんがNIGO®さんの自宅を「こんな家見たこと無いよ」って言ってたって、言ってたじゃないですか。 そういう時って「あ、俺頑張った」って思う瞬間だったりするんですか?
N:
そうですね。あれがまさに言ってた達成感です。 人生初の。
V:
だって、すごいリスペクトされている方ですもんね。
N:
そうですね。ファッションのきっかけになった人なので。 その次にファレルに会ったんだよね。
V:
出会いは次から次へとですね、やっぱり。
N:
僕の場合、出会いがすごくラッキーですね。
V:
すばらしい出会いがたくさんあって、そこから色々と自然発生してると 思いますが、もしもジョニオさん と NOWHERE をやっていなかったら、 今 NIGO®さんは何をやってると思います?
N:
カレー屋やってると思います。(笑) なんか、今の感じって、本当の自分が望んでた感じでは無いような気がするんですよね、実は。 もっと地味な、古着のジーンズにT−シャツに、カレー屋で皿洗いとか。レゲエとか聴きながら。 結構几帳面なんで、バイトやってた時もそういうとこほめられました。 本当はあんまりプレッシャーが無く、ゆっくりな感じが向いてるんだよね。 何故か今はこうなってしまったけど。
V:
さっきもお話されてた Mr. BATHING APE もそうですけど、新しく立ち上げてるプロジェクトや ラインは、業務的に今までやってた APE との違いってあるのですか?
N:
今までは自分のところで100%でやってたんだけど、今はスーツだったらUNITED ARROWS とやってたり。わりと法則が無くなって他のブランドとも仕事が出来るようになったけど、 元々なんで自分のところでしかやってなかったかというと、他から何も 思われていなかったっていう、「半被害妄想」的なところがあったからかな。 けどそうやって17年も続いて、結構チカラもついて、景気が悪いこんな時でも何かやれば人も集まるし。 ブランド力とかっていうのも自分の中では分かって来たかなと思ってます。
V:
僕は一人のコンシューマーとして思うのですが、人とコラボレーションするよりも自分で やった方がコントロールのきく、自分が納得いく商品をお店に出せるし、最後まで見届け られる。利益とか考えればビジネス的にも利幅が大きいですし、そういう理由の方が大きい のかなって思ってました。逆なんですね。
N:
そういわれればそうかも。(笑) 確かに100%自分でやった方が楽だった。イメージも完全に自分ので。0からお客さん の手に届くまで全て見届けられるから。空間であろうが、音楽であろうが。けど、自分が 歳をとって、スーツとか着出したり、興味を持ち出した時に、自分のところでやろうと 思っても出来ないんですね。生産の背景というか。 あと、スーツに関して「ノリでやった」みたいに思われたくなくて、良質なレベルの商品 を出すまでに3年とか、自分なりに研究しているので、UNITED ARROWSと一緒に組む 事でまじめにやってるっていうことを伝えたかったのかも。
V:
ブランド同士お互い認めあい、そのコラボレーションが良い化学反応を起こして良い商品 が出来てるってことですよね?
N:
お客さんが納得いくような。
V:
話しは変わりますが、NIGO®さんが関わるプロジェクトは、誰とコラボしたとしても 何故かかっこ良くなっちゃう...なんかゴールデンタッチがある感じがするのですが、 そのブランディング力って何ですか?
N:
面白いか面白くないかだよね。ビジネスを先行しちゃうと、ルールも壊せないから面白い ものが作れない。例えば、サンリオと何かやる場合、絶対サンリオとしてここは曲げない けど、こうしたらもっと面白いのにというところがあって。今後もっとお互い納得いく ようにしたいですけど。 で、逆にバーバル君と一緒にやった時みたいに、色々提案してもらったりとか。そういう のが面白いと思うんですよ、僕は。自分の発想の中にないものが出て来たり。 他を言えば KAWS と昔一緒にやった50/50は上手くとけ込んだというか、 バランスがよかった。コラボって結構世の中に出さないものとか作ったりするから 楽しい。 例えば友達の結婚式の引き出物のTシャツ作ったり、ドラマの俳優さんに頼まれて打ち 上げ用にスタッフに配りたいからもの作ったりとかしたのだけど、そういうのもコラボっちゃーコラボ。
V:
ちょうど先日BUSY Pが来日してた時にコラボの話をしてて「あり得ない同士がジョインすると面白い コラボが生まれるんだ」って言ってました。「俺は背の高い長髪の白人の兄ちゃんだから、ちょっと ゲトーなグラフィティTーシャツ着るとそのギャップが面白いでしょ?そのギャップが大きければ 大きいほどお客さんも面白がってくれる」っていうエドバンガー論を教えてくれました。
N:
それを日本人が着てたらもっと面白いと思う。めちゃくちゃな感じで。(笑) 自分も多分、日本だったから出来たと思うんですよね。
V:
さて、またお話は変わりますが、中国はよく行かれます?
N:
結構行きますね。逆に通ってる感じかな。(笑) 5年ぐらい前から世界中のブランドから「中国は面白いから行け」ってすごい言われてたので その時は疑問はありながら毎年行ってたら、去年ぐらいから若者が結構買い物してることに 気づいて。
V:
それは経済的に成長してるという理由だけではなくて、みんながファッションにもっと興味 をもったからですか?
N:
ファッションに対して気持ちが出て来たというか。
V:
NIGO®さんって台湾とか香港にもお店があるからよく行かれるじゃないですか?上海、北京とか と比べてどういうところに違いを感じますか?
N:
元々香港で最初のお店出した時はまだカルチャーが無かった。良いレストランとか、かっこいい 建物とかも無かったし、そんなに裕福ではなかった。その時はダメでしたけど、3年後に今の新しい お店を出して、その3年の間に若いクリエイターたちが出て来て、日本のものとかが好きという カルチャーが出て来て今に至る。自分の中で今面白いのが、やったことの返りが一番ストレート なのは香港。
V:
それはどういう場面で感じますか?
N:
お店を見てですかね。すごい活気があるから。
V:
世界で一番でかい BAPE STOREですよね?なぜ香港が一番でかいんですか?
N:
日本のトップとして裏道に出す訳にはいかない。前はそういう感じだったんで、 今度はメインストリートに出したくて。たまたま良いパートナーが居たっていう のもありますが。
V:
今の中国のストリートカルチャーはどんな感じなんですか?
N:
まだまだこれからだと思いますよ。初めて中国に行った時、ストリートが無いっていう衝撃 がありましたね。ヴィトンとかはありましたが、ブティックとかセレクトショップ がほとんど無かった。でもその時に逆にいけるなと思った。のびしろがあるというか。 だからいろんな意味でこれからですね。
V:
中国ってクリエイターが育ちそうな環境だと思います?
N:
なかなか情報の規制があるって聞くし、twitterもできないとかいろいろあるみたいですけど、 そういうのがだんだん緩和されてくれば、多分香港で見てきた十年が中国では五年かもしくは もっと早く突き上げてくるじゃないですかね。すごい楽しみって言うか、今のこの世代は一緒 に国境もなくやっていける世代だと思う。
V:
今、世界のブランドで中国でのセールスが伸びてるブランドが多いみたいですね。Y−3もその 一つらしくて、とりあえず「Y−3」って書いてあるTシャツとかはもうステータス、みたいな。 やっぱり「Made in Japan」= ステータスって感じなんでしょうか?
N:
たしかに日本のモノでが欲しいとかの日本のモノがステータスっていう傾向ありますよね。 かなりそういうの嬉しい。でも、もう今はmade in Japan よりmade in Chinaの方が クオリティー良かったりするかも。
V:
もはやこれからストリートシーンが中国で成長してきたら、こだわりの多い若い子が増えて くる訳じゃないですか。今までインポートが流行ってたのに、それが中国内でもっと早く、 もっとクオリティーの高いモノが出来てきたら、最強になってくるはずじゃないですか。
N:
それは間違いないですね。でも本当に一ヶ月で変わりますからね、町が。人の活気があるのが どんどん目に見えてくるっていうか、最初行ったとき全然人いなかったけど、今は高級なお店 にすごい人がいて、ちょっとラフォレー的なお店もあって若い人がものすごい来てて、みんな もうそういうお店で買ってて。香港で聞いたのが、今までの香港の若者は働いてそのほとんど のサラリーを家に入れる。それがだんだん香港も変わってきて、稼いたお金は自分のために 使う風習になってきてるみたいですね。
V:
カルチャーも実際変わってるんですね。西洋化じゃないですけど。
N:
そう。まあ楽しいっていうか、飯うまいし。
V:
物価もそんなに高くないんですか?
N:
今はまだ、でもすぐもう高くなっちゃうと思う。 もうちょって落ちついてくればハード面っていうかいろいろ建つものが建って環境ができてくる と思う。今は行きやすくもなってるし、向こうからも来やすくなってるし。そこでもやっぱり 中国の人が欲しいっていうモノと日本人が欲しいというモノが違ったりするので。
V:
ざっくりと、その「違い」ってなんですか?わかりやすい「違い」ってありますか?
N:
多分ブランドとかのロゴとかにステータスを求めてるからそれがパッて見て分かるモノが好き なんだと思う。もともと日本人もそうでヴィトンやシャネルだったりを買いあさってた。そう いう感じじゃないすか。
V:
そんなNIGO®さんは中国のマーケットにも昔から興味をもっててすごく成功されてるじゃない ですか?これから中国に参入しようと思っている企業の人達にNIGO®さん的なアドバイスをする としたらどういうところだと思いますか?
N:
聞くだけじゃなく行ってみないとね。ただもう広すぎて上海だけでもなんども行かないとエリア ー広いからカバーできない。
V:
ファッションやブランディングにまつわるクリエイティブな仕事をしたいという若い子達に対して アドバイスはありますか?
N:
難しいなー。昔だったらよく若者に「マニアックな情報をいろいろ掘り探せ」って言ってましたが、 今は情報量多すぎちゃってるからね。日本に来ていろいろ見たりとか。ネットのみだと行った気に なっちゃうけどやっぱ実際目で見た方がもっと空気感とか感覚みたいなものが分かると思う。
V:
これからブランドをやりたいって人にブランディングの基礎を教えていただけますか?
N:
難しい!ブランディングしなくてここまできたから!(笑)そこなんだよなー。 言うなれば感覚、センス。
V:
例えばテリヤキボーイズがテリヤキボーイズじゃなくて「デリシャスボーイズ」っていうネーミング だったとしたら、ここまでやってこれたと思いますか?
N:
(笑)そうだね。「テリヤキボーイズ」だからこそなところがありますよね。
V:
ブランドのネーミングってどこまで大切だと思いますか?
N:
「TERIYAKI BOYZ」も「APE」もそこまで深くは考えていなかったというか、ノリっていうか、 それって多分感覚で決めた方が良いのかな。とにかく、まんまコピーはやめた方が良いと思う。 最初はコピーから初めても良いんですけど、ちゃんとブランドを始めたら辞めた方が良い。僕も 実際ブランド初めて「エイプっぽい」というものを目の当たりにして、そういうのはやっぱり 作り手としては嬉しくないよね。やめた方が良いと思います。
V:
インスパイアーされるのは良いけどそのまんまでずっといったら良くないよ、という事ですよね?
N:
どこかで頭一つ出る人は、どこかで、気づかない内に自分のギアに入っていると思う。僕もすごい 先輩達から影響受けてまんま同じ格好したりとかやってきたけどでも、店を始める前ぐらいから ギアーを変えたかな。センスはレベルアップできると思う。コーディネイトでもそうだと思うん だけど、最初からセンス良い人って絶対いないから、最初はコピーとか見よう見まねでそれが ベースで良くなる。どこまで服が好きかっていう事が大事かな。そういう意味では最近は情報が 拾いやすいんで基礎的なものができやすい。後は応用じゃないですか、やっぱりそこをどこまで 掘り下げていけるかということかな。
V:
全く関係ない質問ですが、ブラジルから帰りの飛行機の中で席が二つしか開いてません。 マライヤ・キャリーの隣かボビーブラウンの隣だったらどっちを選びますか?
N:
やっぱりマライヤの隣かな。。(笑)
V:
最後に、これからの展望とか個人的なアナウンスがあったら是非お願いします。
N:
実は以前にもYOHOの取材を受けた事があって、初めての時「どこの雑誌?」ときいて、本土の 雑誌と知った時に、ついにカルチャーっぽい物ができたなという事がすごい嬉しかった。もっと 読む人に僕らがやってるような事が広まっていけばいいなと思ってます。やっぱ紙って大事。 アナログがデジタルでバーチャルの時代故に大切かと思います。